選手を育成する上で大事な事は、環境であると考えています。具体的には良いグランドと有能な指導者、そして切磋琢磨できる雰囲気。これは全てのカテゴリー、全ての地域、そして全ての国の育成において同一の考えであると思います。
勝負に徹するとか、しないとか、練習時間やカテゴリーの区分けの違いなど、方針はそれこそ千差万別かと思いますが、大事な事は繰り返しますが環境です。
このクラブの練習時間はどのカテゴリーでも一時間です。おそらく近隣のクラブの中では一番短い時間と思います。しかも週一回の子もいるわけですから、他のクラブの子よりも練習量はとても少ないです。中には他のクラブにも入っている子や、このクラブだけで活動している子もいます。そして当然このクラブだけで活動している子の方が圧倒的に練習時間は短いわけです。
その練習時間だけを考えれば、他のクラブに入っている子の方が上達が早いと考えてしまいますが、実際は面白いことに全く逆の現象が起きています。
中学年以降で顕著になりますが、他のクラブで活動している子はなぜか集中力を維持できません。たった一時間の練習でも、30分過ぎるとプレーの質が目に見えて落ちてきます。単純なミスが多くなり、ふざけた態度を取ったりします。そうなると練習が身に付くはずもなく当然上達も遅くなるわけです。
もちろん全ての子ではなく、他のクラブで活動している子でも、強い意志を持って練習している子はどんどん上達し、三年生でも六年生の中で遜色なく練習している子もいます。
他のクラブを否定しているわけではないですが、他のクラブの練習では集中して、このクラブの練習ではたまたま気を抜いてしまっているのかもしれません。しかしどのような事情があろうと現実は練習量が少ないこのクラブだけで活動している子の方が、圧倒的に伸びています。
冒頭に選手育成で大事な事は環境であると書きましたが、しかし指導者がいくら良い環境やチャンスを与えても、それをものにするのは結局は選手本人なのです。このクラブだけでしか活動していなくても、一回の練習がたった一時間だけでも、本人が絶対に上手くなるという強烈な意志があり、集中して練習に臨んでいる子、上の学年やクラスと一緒に練習や試合のチャンス与えた時、貪欲にチャレンジする子は本当に上達が早いです。
考えてみればこれはサッカーだけではなく、社会に出てからも一緒ですね。お父さんやお母さんがどのような想いで働いているのか、子供達ともう少し共有できたら良いのかもしれません。