今日、アメリカ対ガーナ戦を観ました。白熱した素晴らしい試合でしたし、私達サッカーに関わる人間にはとても学習機会が多い内容でした。
先日のコートジボワール、そして今回のガーナもとても組織的かつ献身的なディフェンスを構築しており、一昔前のアフリカ特有の個人能力を全面に押し出した爆発力はあるが、非効率なサッカーは全く見る影もなく、とても進歩している様子がうかがえます。アフリカにおけるサッカーの価値観が変化しているのではないでしょうか。サッカーはその国の経済状況を反映するスポーツです。最近のアフリカの著しい経済成長と何かしら関係があるのでしょうね。
ところで私はこのブログで組織的なディフェンスや攻撃時のポジション変化という言葉を多く使います。少し分かりづらいかと思いますので、良い機会ですので簡単に説明します。
まず守備において重要な事は目の前の相手に負けない事。ドリブルしてくる選手に抜かれない事です。しかしいくら一対一の守備が強くても、世の中には上には上がいるので出来るだけ一人で対応するのではなく、複数人で対応します。日本代表を例にしますと、左サイドで長友選手に向かって相手がドリブルしてきた際に、長友選手だけではなく、香川選手や吉田選手も長友選手を助けます。この時にあらかじめ味方の選手を助ける位置にいる事だけでなく、自分がマークする選手にも対応できる位置にいる事が鉄則になります。
スタジアムで観ると分かりやすいのですが、例えばテレビで見ている時に相手チームがグランドの中央あたりでボールを保持している時にそれを視野に入れつつ、画面端の方の相手ディフェンダー達も見てください。彼らはきちんと等間隔で体の向きも同じように一直線に並んでいるのが見えます。これは自分の周りに相手が来た際に、また味方のサポートにもすぐに行ける位置にいるのです。
この時に彼らはボール保持者を見つつ、自分のマークする選手も見て、味方のポジションも見て、走りこんで来そうな選手も見て、自分のポジションを細かく修正しています。飛び込んでくる相手を網を張って捕まえるイメージですね。
このディフェンスのやり方をゾーンディフェンスと言いますが、これを有効にするのは前線からの守備になります。大まかに言うと味方のフォワードや中盤の選手が相手ボール保持者に厳しくディフェンスに行く事により、相手ボール保持者のパスの正確性を下げる事でボールを奪いやすくします。いくら完璧なゾーンディフェンスを行っても、相手に良い状態でボールを保持されたら難しい状況に陥ってしまいます。
今のサッカーはできるだけ相手ゴール近くでボールを奪うという流れになっています。一昔前のようにフォワードは守備をしなくて良いという事はなく、全員守備でまた全員攻撃がスタンダードになっています。もちろんマラドーナ選手のような一人だけで点を獲れるという選手がいれば別ですが、そのような選手は100年に一度誕生するような確率でしょう。
ちなみに日本代表は長友、吉田、森重、内田選手が一直線に並び、その少し前に長谷部選手と山口選手が並行して並んでいます。この二つのラインが崩れた時にピンチなりますので、試合を観る際にはこの二つのラインにも注目してください。
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